意識が散漫になり、感動を与える(購買意欲が増す)ことは、けしてありません。一堂のもとに、数多くの作品を見せる「コーナー」があったとしても、そこには何らかの演出がなければなりません。
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そこで今回は「五感を支配する」というタイトルで、前回よりちょっと深く掘り下げてみることにしました。
家を建てた経験のある方はご存知だと思いますが、例えば50坪の更地はひどく狭く見えるものです。「こんなところに家が建つの?」
でもいざ建ってみると、なかなか立派な「豪邸」が出来上がります。
家の中に入って見ると、さらにびっくり。広いリビングと、家族各人の部屋がゆったり50坪の中に収まっています。それはなぜだと思いますか?
※地方にお住まいの方は、50坪と聞くと、「納屋ひとつ分じゃないか」と
驚かれるかもしれませんが、東京近郊で50坪は充分“広い土地”です!
遊園地にある、独立して建っている「お化け屋敷」を外から見ると、「なんて小さい!」と思いがちです。ところが、実際入場してアトラクションを楽しんでみると、随分と長い距離を歩かされたような気になります。
その訳は、「お化け屋敷」の中が≪細かくパネルで仕切られ、視界が限定されて≫いるからです。それは、ドアや引き戸や、壁で仕切られた家と同じ構造です。しかも、お化け屋敷は「一方通行」になっていて、「視線を支配」されているのです。
違う点は、通路をお化け屋敷より広く取る点ぐらいです。
普通展示会は、3~7日程度の短期間に、多くのお客様にご来場いただく「期間限定」催事です。百貨店で行われる『展覧会』では、6日間で3万人以上、といった場合もあります。それ程ではないにしても、会場によっては、通路の広さは「消防法」で規定されています。
「あらゆるイベントの構成」を、「遊・休・知・美」という概念を当てはめて組み立てると旨くいきます。
展示会の構成でも、「遊・休・知・美」は使えます。
『ワクワクさせて、ゆったりさせて、考えさせて、感動させる』のです。
1.展示会場はパネルに囲まれていて、中は見えません。もれてきて音からすると、なんだか楽しそう。
2.入り口そばのタイトルを確認して、中に入ります。入ってすぐの所に、見上げるほどの大きな作品(商品)が展示してあり、思わず目を奪われました。これって確か、あの有名な『胡瓜を食べる河童』!期待ふくらむなあ。
3.導線に従ってコーナーを曲がると、突然開けたスペース!
「小品」の展示が、リズミカルに並んでいます。1点1点、くつろいだ気持ちで見ていきます。心がゆったりと落ち着いてきました。
4.再びコーナーを巡ると、突然暗い空間にスポットが!中央に久谷焼のドンブリがひとつ、ぽつんと直接床に置かれています。「なんだろう?どういう意味なんだろう?」ぐるりと回りながら作品を見つめましたが、分かりません。その時、突然天恵が!「これは宇宙を表しているんだ!!」
5.出口が近づいてきたようです。今回の目玉である『出羽の鴉天狗』の像の周りは人だかりがしていて、そう簡単には近づけません。列に並び、人の背中越しに遠くから眺めます。段々と近づき、やっと正面から見ることが出来ました。
「感動!」「なんて美しく、神々(こうごう)しいのだろう!」
これを見るために、今まで生きてきたのだ、と、心から想いました。
6.出口を出ると、そこは「即売コーナー」。この感動をぜひ家族に伝えよう。何か、お土産買って帰んなきゃ!