50.らん展日記

先月の16日から27日まで12日間、東京ドームで開催された『2005世界らん展日本大賞』(開催日は19日~27日)という“世界最大規模”の「ラン」の展覧会に、期間限定の事務局員として、会場に詰めていました。
 

今回私の仕事は「プレス対応」で、ちょっと専門外ではありましたけれど、なかなか刺激的な仕事でした。長年仕事で付き合いのあるパブリシティ会社の人に誘われて、慣れない業務に就きました。
 

さて、その実態は!?
 

なにせ9日間で45万人を集めるチョー人気催事です。私と違って本採用の事務局員は、始まる前から目にクマを作って、頑張っていました。実施期間中、あるスタッフの顔はキョンシーぽかったです。(恐ろしや!)「死力を振り絞ってやっているんだな」と、ちょっと感動しました。
 

さて私の苦労はと云えば、ちょっと朝が早いこと。
期間中冷めた弁当を2食、食べ続けたこと位です。
他のスタッフには申し訳ない思いで、東京ドームの迷路のようなウラ通路と、アリーナ(グラウンド)をうろついていました。
 

そんな“ハグレ事務局員”の「らん展」日記です。はじまり、はじまり!
 

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2/19(土)
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「らん展」初日。小雨降りしきる中、オープンと同時に、続々とお客様がゲートからご入場してこられる。
 

オープン前、NHKの朝の連続ドラマでおなじみの、原田夏希さんの記者会見と、フォトセッションが行われた。今年の「オーキッドクイーン」に選ばれたためだ。
テレビで観るよりずっと「小顔」。それに笑顔がなかなかアイドルっぽい!原田さんは、3時からのNHK・BSにも出演された。
 

5時50分から「光のオーキッドファンタジー」が始まった。
リハーサルで一度見ていたが、通常のライトが消される瞬間に立ち会うのは初めてだ。
ボールパークのカクテル光線が消され、幻想的な蘭の花々が浮かび上がった。
ため息ともつかない歓声が、そこら中で静かにわきあがる。
 

さすがにこの時間は、昼間と違ってごったがえすることはない。
ゆったりと蘭を見ることができる。その分、これを見ないで帰るのは惜しいと思う。
 

6時半、「蛍の光」とともに初日が終了した。
 

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2/20(日)
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今日も朝から雨模様。昼から晴れるはずが、どうやら延びたようだ。
10時過ぎにアリーナ(グラウンド)に出てみた。
1塁側の客席通路からお客様は会場に降りてくる。しばらく見ていたが、列が途切れることはない。
 

運営事務局の部屋に戻る。ここは「イベント控室A」。ほぼバックネット裏、観客席の下にある。
ほかにも「選手サロン」や、「ロッカールーム」「監督コーチ室」「インタビュールーム」「ミーティングルーム」などが、「運営本部」や、「出演者控室」「美術本部」「ストックルーム」などに当てられている。
 

野球ファンならば一度は入ってみたい場所だろう。役得、役得!!

今日からステージイベントが始まった。3つあるステージイベントのうち、3時半からは「コンパクトカメラで撮る蘭の写真の美しい撮り方」という講座だった。多くの人が熱心に聴いていた。
 

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2/21(月)
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今日はNTV「おもいッきりテレビ」の生中継があった。
コマーシャルに入る前の10秒足らずの映像だが、番組中に15回ほど、「らん展」の様子が映し出される。宣伝になるこうした取材は、もちろん大歓迎だ。
 

我々事務局スタッフは、テレビカメラのそばに付いた。
「らん展」では、お客様のカメラの三脚、及び一脚の使用をお断りしている。
その例外を、主催者サイドとして「認可している」ということを示すためだ。
 

ただ脇から見ると、どうしても「テレビカメラ優先、お客様排除」に見えてしまう。テレビクルーもその辺は心得ていて、お客様に接する態度は案外ソフトだ。我々スタッフもON AIRの直前まで、カメラ周りだけのガードに徹した。
 

それでも、お客様より苦情をいただくことがある。
「こんな撮影は終了後にやるべきだ!」
ごもっともな意見だと思うが、当方にも事情がある。
より多くのお客様にご来場いただくため、あらゆる機会を生かして、告知に努めなければならない。PRの手を緩めることは出来ないのだ。
 

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2/22(火)
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今日は「らん展」にとって、ふたつのビッグイベントがあった。
午前中の常陸宮同妃両殿下、夕方の清子内親王殿下のご来賓だ。
 

常陸宮同妃両殿下は開場前のご入場だったので、たいした混乱もなくスムーズにいった。
清子内親王殿下は「時の人」でもあり、17時のご来賓ということなので、警備体制について事務局で随分と会議した。ただ「開かれた皇室」を標榜する宮内庁の意向もあり、あまり大げさにならないように気をつけた。
 

モスグリーンのツーピースをお召しになってご登場された紀宮様の人気は、やはり絶大だった。ご来場されていた特に50代以上の女性が、携帯カメラ片手に、我が娘を見るようなまなざしで熱い視線を送っていた。
 

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2/23(水)
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「らん展」は、美術展などとは違って、“撮影禁止”でないのがいい。
会場を見ていて思うことだが、ほとんどの人がカメラを手に持ち、熱心に観ている。
そして、これぞと思う作品に出会うと、じっくり構えて撮影している。お客様にとって「らん展」来場の目的には、間違いなく、蘭の写真を撮るということが含まれているに違いない。
 

アマチュアカメラマンにとって、被写体になる素材があふれているのが素晴らしい。
 

協賛スポンサーとして「富士フィルム」が入っており、会場の数ヶ所でインスタントカメラや、フィルムを売っている。一般的に云うとデジカメが主流だが、お歳を召したお客様の多いここでは、半々といったところだ。
 

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2/24(木)
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今日のイベントのハイライトは、何と云っても1時と3時の2回行われた「假屋崎省吾いけ花ライブ」だ。
 

花を活けながらの講演会、といった独特のスタイル。
また特徴のある、かん高いあの声。今や超売れっ子のタレントだ。
 

ひとめ見ようと、客席は1回あたり、1000人を越す聴衆で埋まっていた。
またチャリティサイン会も行われ、数多くの人が本を買うため列に並んでいた。
 

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2/25(金)
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今回の「らん展」は15回目。記念として、いろいろなイベントが組まれている。昨日の「假屋崎省吾いけ花ライブ」もそうだし、「四季の庭園」のライティングを担当していただいた照明デザイナーの藤本晴美さんもそうだ。
 

さて、本日の目玉は「椎名誠講演会」。講演のタイトルは「旅で見たこと考えたこと」。
假屋崎さんのように「大聴衆」とはいかなかったが、熱烈なファンである“椎名フリークス”が、熱い視線を送っていた。
 

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2/26(土)
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この日は私だけ、お休み。さすがに終了間際になると、マスコミからの問い合わせもほとんどない。
 

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2/27(日)
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いよいよ「らん展」も最終日を迎えた。
朝からウラ通路は、ランの販売業者の搬出準備でごったがえしている。
 

「関係者サロン」でタバコを吸っていたら、隣の席で販売業者がアルバイトにギャラを渡していた。悪くない金額だ。随分と商売になったのかな。
 

そう云えば、「ラン展」はこの「関係者サロン」から始まった。
2月18日午後2時、開催日の前日、ここで「日本大賞」受賞花の発表があった。私はその記者発表のディレクターをしていた。
 

午前中の審査を経て、決定したのは千葉に住む古山さん。
デンドロビューム カスバートソニー ‘ゴールド マウンテン’という花。
前年の大振りのシンビジュームと打って変わって、小さな鉢の可愛らしい花だ。
 

大賞受賞者に連絡が行き、千葉から駆けつけた古山さんが記者発表の会場に着いたのは、記者発表の終わり間際だった。
「古山さんが到着されました!では、ひとことコメントを!」という司会者の言葉に、受賞者は息が弾んで、いっとき言葉が出なかった。
 

そしてやっと口をついて出た言葉は、まるで怒っているようだった。
「賞が取れるなんて、思ってもみなかったから・・・」
 

     ◇         ◇         ◇
 

今回のこの仕事、貴重な経験にはなりましたが、この年齢で、専門でない分野で働くことは、なかなかしんどいものだと痛感しました。
 

どっぷり入り込めば良かったのですが、それも出来ず、上っ面を撫でただけのような気がしています。1年を通して事務局を運営しているスタッフにも遠慮がありました。反省しきり、です。