48.イベントとドトールコーヒー

東京ビッグサイト等で行う大き目の展示会や、ファッションショーなどでは、主催者側がスタッフのために、ペーパードリップ式コーヒーサーバーを、ウラのスペースに入れることがよくあります。
 

これはもちろんスタッフの便宜を考えてとも云えますが、コーヒーを用意することで、「ちょっとお茶しに」と、個々のスタッフが勝手に散らないよう防御する意味合いもあります。
 

小さなイベントでも、制作会社の人間(私もそうです)が、スタッフのために飲み物を用意することがよくあります。手軽なのはなんといってもコンビ二で調達できる「缶コーヒー、缶ジュース」の類ですが、時には「ドトールコーヒー」にアルバイトを走らせて、人数分のコーヒーを用意することがあります。
 

これは意外に大変喜ばれます。値段にして1.5倍程度ですが、それ以上の何か「ありがたみ」を感じてくれるようです。
 

■うまいコーヒーを手軽に飲みたい■

 

別にドトールコーヒーの肩を持つわけではありませんが、20数年前ドトールコーヒーが会社の近く(表参道)オープンしたとき、「これは新しい文化だ!」と思わせるものが確かにありました。
 

当時「コーヒー1杯150円」という価格も驚きでしたが、世間で流布していた“ネルドリップ式か、サイフォン式か”という、いわゆる旨いコーヒーを淹れるには「職人技が必要」という考え方に、真っ向から立ち向かうものでした。
 

当初ドトールコーヒーでは、外国製のコーヒーマシーンを使って、コーヒーを提供いました。(今は日本製なのかな?)ネルでも、サイフォンでも、ペーパーフィルターでもないというのは、新し物好きにはなかなかに魅力的でしたね。“パリのカフェみたい!”って。
 

コーヒー専門店のコーヒーは、「店を選べば」確かにドトールより上でしょう。
ただ、打ち合わせで1日に2回も3回も喫茶店に入るのには高すぎました。
ドトールの出現は、もっと手軽に、“それなりに旨い”コーヒーが飲みたい、というニーズに合致したものでした。(マズいくせに、400~500円取る店はざらにありましたから)
 

■「ぽえむ」チェーン■

 

「旨いコーヒーを淹れるには職人技が必要」という風潮に、最初に異議を唱えたのは、私見ですが「ぽえむ」というコーヒーチェーンを全国展開していた「日本珈琲機構」だと思います。
 

「ぽえむ」では、良質なコーヒー豆を使い、ペーパーフィルターで一杯一杯まごころを込めて淹れれば、誰でも手軽に美味しいコーヒーを飲むことが出来る、というコンセプトを掲げていました。コーヒー豆も、どこか普及活動のような熱心さで、一生懸命販売していました。
 

私が通った大学のそばにも「ぽえむ」があり、毎日のように通っていました。「ぽえむ」発行の月刊のミニコミ誌、「珈琲共和国」が店置きしてあり、コーヒーに関するいろいろな主張や、美味しい淹れ方が載っていました。フォーク歌手の小室等さんや、漫画家の長島慎二さん(故人)の連載記事が載っていたはずです。(70年代だなあ~)
 

さてその「ぽえむ」で、ある時期販売していた豆が「ドトールコーヒー」の“良質な”豆だったのです。当時「ぽえむ」では300円程でブレンドコーヒーを提供していました。その頃はまだドトールコーヒーは、豆の輸入と焙煎工場を持つ豆問屋さんで、店舗展開はしていませんでした。
 

それから約10年後、私も社会人として、いっちょ前の顔をしていた頃、一般のお店のコーヒーの価格は、500円前後になっていました。土地価格の上昇や、人件費の高騰など、いろいろな要素でそうなったのでしょう。「ぽえむ」もその例外ではありませんでした。
 

■ドトール繁盛記■

そうした時(1980年)に、ドトールコーヒーはオープンしたのです。
「明るい清潔なお店で、美味しいコーヒーをお手軽に!」といったコンセプトだったと思います。外国製のコーヒーマシーンで淹れるというのも、画期的でした。追随する店は、その後15年近く現れませんでした。
 

・カフェベローチェ~1995年
・スターバックス~1996年
・タリーズコーヒー~1997年
 

圧倒的な支持により、その後のドトールコーヒーの市場への浸透はご存知の通りです。ドトールの精で、つぶれてしまった店も数多くありました。
現時点でのドトールコーヒーの店舗数は下記の通りです。
 

・北海道/16店舗・東北/57店舗・関東/279店舗
・東京都23区/376店舗・東京都下/58店舗
・信越、中部、東海/72店舗・近畿/109店舗
・中国、四国/18店舗・九州、沖縄/38店舗合計1023店舗
 

皮肉なことに、「ぽえむ」も随分と衰退してしまっています。今では東京都内に4~5店でしょうか。阿佐ヶ谷や高円寺に残っています。今はドトールの豆を使っていませんが、大変美味しいコーヒーが飲めます。
ブレンド1杯400~500円しますが、私は「スタバ」以上だと確信しています。
 

     ◇         ◇         ◇
 

【イベント関係者「ヘビースモーカー」の会話】
 

A 「スタバじゃタバコ吸えないから、ドトールが好き!」
B 「テラスで吸えるけど、これからは寒いしね」
A 「タリーズはタバコ吸えるし、コーヒーも美味しいよ」
B 「ガラスとドアで仕切られた中じゃねえ・・・」
A 「確かに“ヤク中の間”みたいで、ちょっと抵抗があるなあ」
B 「ドトールは喫煙スペースと、禁煙スペースが分かれている」
A 「特に仕切りがないのがいいなあ」
B 「だからドトールが好き!吸わない人には迷惑だろうけどね」
 

宣伝みたいになってしまいましたが、私の中の「ドトール」は、30年ほどのちょいとした“歴史的”(!)なものなのです。
コーヒー好きな私の個人史の中で、やはり、ドトールの誕生は、レボリューションでした。