43.ミステリートレイン(2)

「ミステリートレイン」というのは、「行き先を知らされない列車による旅」のことですが、いざ旅が始まれば、実際は周りが見えている訳で、大人なら走っている路線や、途中駅から、およそ終着駅の見当は付くものです。
 

「お父さん、どこに向っているんだろうね?」と子どもに聞かれても、「さあ、どこなんだろう、分からないなあ」などと云いながら、家族で旅の『設定』を楽しむというのは、ちょっと高級な遊びと云えるのではないでしょうか?!
 

さて、それでは前回の続きです。
列車は「予定通り」、中央本線の「小淵沢」に“臨時停車”しました。
 

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★「小淵沢」はこんなところ(旧小淵沢町ホームページ/観光案内)
→→→ http://www.yatsu.gr.jp/kbc/kobuchisawa/index.html
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列車が駅に着いた途端、馬に乗ったインディアンが5名ほど現れたので、随分と驚かれた老婦人がいたとか。ただ後で考えてみると、一緒にいた子供にとって「インディアン」が「親しい存在」であったかどうかは疑問です。
 

我々の世代にとって、子供の頃よく見たテレビの西部劇のおかげで、インディアンは案外「親しい存在」だと云えます。
『ローハイド』『ララミー牧場』『シャイアン』『ローンレンジャー』・・・他にもまだまだありましたね。あなたはいくつ覚えていますか?
 

この≪駅のシーン≫でのストーリーは次の通りです。
 

1.列車がトンネル内でタイムスリップし、取りあえず最寄の駅「小淵沢」に臨時停車する。
 

2.「小淵沢」に列車が止まると、インディアンに囲まれる。それにより、アメリカ開拓時代の中西部に不時着したことを知る。
 

3.ツアーの責任者である「艦長」が、列車外に出てインディアンと交渉。インディアン内部で意見が分かれ、副酋長が何人かを引き連れてその場から去る。
 

※「こんな訳の分からない、キケン分子と関わるべきじゃない!」というのです。当然の反応、とも云えます。
 

4.酋長が「お困りだろうから」と、自分たちの居留地に来るように云う。
艦長「ここは逆らわず、彼の意見に従いましょう」と乗客を説得し、全員で列車を降り、なぜか貸切バスに乗り換え「居留地」に向かう。
 

※インディアン語でしゃべるインディアンに対し、艦長は身振り手振りで答えます。艦長は多分、本当は何を云っているのか、判っていない?
 

こうしたイベントでは、「今、何が行われているか」をキチンと観客に伝える必要があります。この時は女性司会者が、列車の音響装置を使って「実況放送」しました。
 

次のシーンは、「居留地」に向かう道の途中でイベントが発生します。近くのペンションから電源を借り、音響機材を設置しました。
 

5.バスがイベント発生地点に差し掛かると、爆竹が鳴り、スモークが焚かれる。バスの前に副酋長一派が突然現れ、バスジャックをする。
 

6.酋長と艦長は捕われ、縄に縛られ、バスの前を歩かされる。バスはゆっくりと居留地へと向かう。
 

≪居留地のシーン≫ ・・・ このイベントでは、「ラングラーランチ」という牧場に全面協力をお願いしました。馬に乗るインディアンや、このシーンで登場する騎兵隊は、すべて「ラングラーランチ」で手配していただきました。何年後か家族で訪れ、乗馬をしたり、食事をしたりして遊びました。
 

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★ラングラーランチ→→→http://www5a.biglobe.ne.jp/~Wrangler/
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7.居留地(牧場)に着いた一行。バスを降り、広場へ向かう。
 

8.広場の中央で、副酋長一派による「酋長」および「艦長」の処刑が、今まさに始まろうとした、その時・・・
 

9.女性司会者が子供たちに呼びかける。「みんな!艦長と酋長を助けなくちゃ!みんなで正義の味方を呼ぼう!誰がいいかな?・・・そうだ!ゴーグルファイブを呼ぼう!!一緒に声をそろえて!せえーの、『ゴーグルファイブ』!!」

※当時の『戦隊シリーズ』は、第1作の『ゴーグルファイブ』でした。
 

10.主題歌がかかり、『ゴーグルファイブ』がひとりづつ、ポーズを決めながら登場。「悪」のインディアンと戦う。
 

11.最初は優勢だったが、多勢に無勢。形勢が逆転し、全滅しかける。
その時・・・
 

12.ラッパが高らかに吹き鳴らされる。はるか向こうの森に騎兵隊が現れ、馬に乗って駆けつけ、悪のインディアンを瞬く間に殲滅する。
 

13.逃げる副酋長を投げ縄で捕らえ、そのまま馬で引きずる。
砂塵が巻き上がる。
 

※迫力を出すため、このシーンは「ぜひ!」と考えていました。ラングラーランチ所属のあるカウボーイが、この役を引き受けてくれました。
 

14.「酋長」および「艦長」は開放され、騎兵隊の手により、副酋長一派はみんなの前に引きずり出される。処罰を決めようとした、その時・・・
 

15.女性司会者「ちょっと待ってください。みんな、どうしようか?」
艦長「突然タイムスリップして、彼らの平穏な生活を乱したのは我々だし、ここは許してあげようじゃないか」
 

16.酋長もその案を受け入れ、メデタシ、メデタシ。酋長がみんなにご馳走しよう
と云いだし、牧場でしばらく遊んだ後、バスで事前予約していた「バーベキュー屋」さんに移動。
 

17.ここで、スポンサー提供の「アメリカンビーフ」をタラフク食べていただき、お土産にも冷凍の「アメリカンビーフ」を差し上げました。
 

18.列車に戻り、一路東京へ。途中のトンネルで無事タイムスリップし直して、元の時代へ戻りました、とさ。(終わり)
 

     ◇         ◇         ◇
 

前回も書きましたが、やる側が“面白かった!”“楽しかった!”と云えるイベントは、そうそう有りません。この時は、本当に、スタッフも力一杯“遊んだ!”という感じでした。
 

前日の夜、仕込が一段落して、小淵沢から清里へ、山越えのドライブをしました。おもちゃ箱をひっくり返したような「清里」の街でしばらく遊んだあと、再び山越えして小淵沢へ向かいました。
 

思いついて、山道の途中で車を止め、外に出ました。車のランプを消したその瞬間、恐ろしいほどの真の暗闇に包まれました。そして、見上げた星空があまりにも綺麗で、卒倒しそうになりました!