36.「世界のカメ展」について

初めて私が手掛けたデパートでの「展覧会」は、『世界のカメ展』です。
「目玉」は、ガラパゴス象ガメと、シロ大スッポンでした。
1回目の展示会は5月の連休で、50種類ほどのカメを大型トラックで、東京郊外のデパートに運び入れました。
 

「カメ」と一口に云っても、いろいろです。リクガメだったり、湿気を好むカメだったり、水の中に「ひたっていたがる」カメだったり、また「海水の中でしか生きられない」カメだったりと、なかなか厄介です。
 

大きさもまちまちで、小は「ミドリガメ」(本名/アカミミガメ)から、大は「象ガメ」まで。
危険なヤツもいました。一時ニュースをにぎわせた「ワニガメ」や「カミツキガメ」。それに「スッポン」!“カミナリが鳴るまで離さない”というヤツ!~子どもの頃、聞いた話しなので不確かですが・・・(それって、イモリだっけ?)
 

象ガメは、檻に入れて会場に運び込んだのですが、トラックの幌を外したところ、車酔いのせいかどうか、たくさんの自分の糞にまみれて我々の前に姿を現しました。仕方なく、ホースの水で檻ごと洗ったのですが、その時、初めて私は象ガメの涙を見ました。アフリカ象のようなシワだらけの皮膚に埋まった小さな目から、涙が止めどなく流れていたのです。
 

「寒かったんだろうな」「可愛そうだったね」と、あとでデパートの担当者とシミジミ話しました。「寒さ対策、してやらなきゃね」と、罪滅ぼしのつもりで急きょ、3畳ほどのホットカーペットを買ってきて、象ガメ展示コーナーの「砂場」の下に敷いてやりました。(期間中、ずっと小水による漏電の心配をしていました)
 

この展覧会のパブリシティ(宣伝)のため、私は朝のワイドショーに出演しました。
「カメって本当に可愛いですね!」と、“カメ博士”のような扱いで(“カメおたく”にしか見えなかったんじゃないかなあ)、手のひらにミドリガメを乗せて、ほんの1分ほどナマでテレビに出ました。舞い上がってしまって、何を話したか覚えていませんし、どう映っていたか、だれもビデオを撮ってくれていなかったので、分かりません。とにかく、「あぁ~、出なきゃよかった」と、あとで随分と後悔しました。
 

展覧会開催中、真綿でカメをくるんで連れてきたおばあさんがいました。
「これ、何ていうカメですか?」と私。
「ロシアガメです」
「綺麗にしていますね」
「いつも一緒にお風呂に入って、甲羅を洗ってやっていますから。でも最近元気がなくて・・・」」とおばあさん。
「甲羅が干からびていますよ」と飼育員。
「甲羅はガーゼで拭くぐらいにしたほうがいいですよ」
 

     ◇         ◇         ◇
 

展覧会は“ホンモノ”を見せるのが一番です。成功する、しないは、そこに掛かっていると云えます。『カメ展』を含めて、動物展示は何といっても、“ホンモノ”ですから、「マル」(◎)です。
 

『忍者展』はその点どうだったか?次回お話しします。