34.アルバイトを育てる

イベントを運営する上で、アルバイトの存在は、案外大きなものです。
イベントは元来、非効率的なもので、ヒトが動いて「ナンボ」という「産業」です。
 

ほとんどのイベント会社が、どこも零細企業で、そのために、イベントの現場をこなすに足る必要な人数を、社員としても、契約スタッフとしても、そう多くは抱えておくことが出来ません。
それを補ってくれるのが、アルバイトスタッフです。
 

博覧会のような、長期的な仕事をのぞいて、イベントは基本的に単発的です。
比較的長期な展示会でも、4~5日が普通です。
 

そこで活躍するのが、イベントのアルバイトスタッフ。イベントの場合、単発であるがゆえ、案外ギャラはよく、以前は通常の1.2倍から1.5倍は支払っていました。
 

ただし、イベントの場合、終了時間がはっきりしないことが多く、12時間やっても、2時間で終っても「同じギャラ」ということがよくありました。
そのため、「今日の現場はきつかった」とか、「楽チン仕事でゴッチャン!」という風に、アルバイトにとって、どこかギャンブルめいたところがありました。それでもイベントの仕事はなかなか人気があり、しかも仕事がどことなく派手さもあったので、アルバイトの希望者はいくらでもいました。
 

私も学生時代、何度かイベントのアルバイトをしました。
デパートの屋上で「新曲発表会」での新人女性歌手のガードや、着グルミの中にも入りました。時には、超一流企業の「新商品発表会」で進行の手伝いもしました。そして、ディレクターとして現場を仕切るイベント会社の社員を見て、とてもカッコいいと感じていました。
 

 *           *            *
 

さて、イベントの場合に限らないでしょうが、アルバイトにも向き、不向きがあります。「あいつ、才能ないんじゃないの?」とか「あいつは使える!」とか、社員同士で会話することがありました。
 

「使えない」場合は“お払い箱”で、次から頼みません。反対に「才能がある」となったら、寄ってたかって“そいつ”を押えに掛ります。いわゆる、「アメとムチ・大作戦」!イベント会社の、「使える社員確保」のための、リクルート施策でもあります。
 

“アメ”は、例えば「ファッションショー」や「水着ショー」の現場に、アルバイトを特に必要としてなくても、突っ込むこと。また、現場が終ったあとの「打ち上げ」に連れ
行き、女性司会者やモデルに、さりげなく紹介してやること。要は、『イベントって、いーなあ!』と思わせることです。
“ムチ”は、本番直前に会社に連日泊まりこませ、仕込み作業の雑用をさせることです。3日は家に帰さず、この時期社内は、タコ部屋状態を呈します。
 

大きな仕事の場合、ギリギリまで、社員は進行台本の決定稿作りや、運営マニュアルの仕上げに追われます。アルバイトには、コピー取りや、持ち込み備品の買出しやチェック、車への積み込みをさせます。
 

そしてメシの調達もアルバイトの仕事。ひと段落つけ、深夜のテレビ放送をボーと見ながら、アルバイトも含めスタッフ皆で、夜食を摂り、缶ビールを飲みながらダベるのは、まるでクラブ活動のようで、今考えれば楽しい思い出です。
 

また各ディレクターの下に子飼い(子分)のアルバイトもでき、チーム化されたり、チーム同士、仕事によっては、アルバイトの貸し借りもしました。
 

     ◇         ◇         ◇
 

「いいイベント会社」では、そうしたアルバイトが学校を出て、そのまま社員となり、だんだんと厳選された精鋭がそろっていきます。
 

スタッフがいいと仕事も増え、さらにやりがいのある仕事も来るようになります。「使える」アルバイトや、実力のある外部スタッフが自然と寄ってきて、魅力ある「スタッフ・ユニオン」が完成します。
 

いうなれば、「梁山泊」のようなものですね。