14.イベント屋

「ご職業は?」と聞かれたら、「広告関係」と答えることにしています。
「どのような」とさらに問われたら、「イベントの企画制作を主に」と私は答えます。
「なあんだ、イベント屋さんか!」の「イベント」なんですが、「イベント」って、何なんでしょうね。
 

20年ほど前、「事務機販売の営業」をやめて、こうした職業に就くんだと田舎の親に話した時、「“いべんと”って何だ?“おべんとう”でも売るのか?」ってなものでした。「イベント」という言葉は、一部では使われていたようですが、スーパーのチラシに気楽に載るようなものではありませんでした。
 

英語で書けば「event」。
実はプロレスの世界では、「力道山」以来使われてる言葉です。
『本日のメインエベント!60分3本勝負!青コーナー・・・』と、スポンサーである三菱電機の掃除機でリング上をきれいに掃除した後、蝶ネクタイのリングアナが登場して、高らかに両選手を呼び上げていました。
『エベント』と云わずに、日本語が『イベント』にスイッチしたのは、いつのことなんでしょう。この件で博識の方がいらしたら、私に教えてください。
 

イベント会社にとってのスポンサーは、大きく分けると広告代理店と、流通関係(百貨店、ショッピングセンター、スーパー、他)です。
 

電通や博報堂、ASATSUーDKといった大手広告代理店は、メーカーから年間の広告宣伝費を任されていて、大手メーカーをスポンサーに持つ代理店は、ナン十億という宣伝費をにぎっています。広告代理店は、テレビや新聞、雑誌等「媒体」にその大部分を割き、残りをキャンペーンや展示会、イベントに振り分けます。
 

広告代理店にとって、イベントは「媒体」に比べて、はるかに分の悪い商売です。手間ヒマが掛かる上に儲からず、成功・失敗がはっきり出る、云わば『地雷』のようなものです。できれば避けて通りたいところでしょうが、そうはいきません。
そこで「イベント会社」に発注がきます。
 

イベント会社といっても、営業品目によりいろいろあります。
タレント(モデル、コンパニオン、芸人さん、等)を抱えるプロダクション、レンタル備品屋さん、展示会等の施工屋さん、音響屋さん、照明屋さん、デザイン会社もあれば、特効屋さんといって、特殊効果の各種機材を扱っている会社もあります。テレビの歌番組でよくやっている「スモークマシーン」や「Co2」(炭酸ガスの白い煙が勢いよく噴出す装置)などを扱っている会社です。
 

これらの会社はモノを持っている会社です。私のやってる「イベント企画制作会社」は、モノを原則的に一切持たず、企画と制作業務だけで喰っています。
広告代理店からイベント一式の予算を請け、企画を立てて「モノ」を持っている会社に発注します。「商社」のような、「二次問屋」のようなものでしょうか。
 

「イベントも企画も解るけど、『制作』ってなあに?」
 

「制作」とはディレクションとプロデュース業務のことです。
≪メーカー=広告代理店≫に通った企画に基づき、予算を振り分けて、プロダクションに発注します。図面や台本や進行表を作って、打合せを重ね、本番を迎えます。
 

本番ではディレクターをたて、現場全体を監理します。現場の質を落とさないで、且つ、自社にお金がたくさん残るよう、心を砕きます。こんな仕事、やっています。
 

◇◇◇◇
 

以前、同業者と与太話をしていて、『イベント屋と“寅さん”の違い』について「検証」したことがあります。
 

「寅さんは、各駅停車の列車で移動するわな。
オレっちは新幹線と飛行機だな」
「どっちがエライ?」
「オレっち!」
「本当に!?あとはなんだろう」
「寅さんは、自分で出演するよな」
「俺たちは、司会者入れたり、タレント呼んだりして、自分では表に出ない」
「それに寅さんは、口上の台本、自分で作っている!」
「それは俺たちも一緒。どっちがエライ?」
「寅さん!」
「あとは、なんだろう」
「あとは・・・いっしょ!」
「かもね!」
 

という結論になりました。ここ最近、全国キャンペーンが少なくて、トンと地方に行っていません。おいしい酒や、おいしい魚を、食していません。