7.ヒーローショー(3)

「ぬいぐるみ人形劇」は、昔からありました。しかし、デパートの屋上で、販促イベントとして初めて行われたテレビ・ヒーローショーは、間違いなく『仮面ライダー・ショー』のはずです。
 

私がイベントの仕事を始めた頃には、動員力の高い、デパートの子どもイベントとして、『仮面ライダー・ショー』はひっぱりだこでした。版元である東映は、20以上の
ぬいぐるみの班を作り、遊園地・デパート・住宅展示場・・・と、商圏がバッティングしない限り、場所を選ばず行っていました。
 

前回書いたように、ぬいぐるみショーは1チーム役者7人、司会者1人、スタッフ1人の計9人で動いています。メンバーは固定ではなく、ジャズでいうならセッションバンドのようなもの。例えば「主役」を張るピアニストと、ちょっとクセのある「悪ボス役」ドラマー、の2人を中心に、あとのメンバーはあちこちから若手をかき集め、なんとかステージをこなします。GWや夏休みなどカキイレ時には、正規の「悪ボス役」ひとり、プラス6人のセッションメンバー、ということも多々あります。
 

たまたま「主役」「悪ボス役」クラスが何人もいるチームに当ると、その日のお客さんは幸運の羽を手に入れたようなもの。役者はノリノリで、ハチャメチャに楽しく、くどいくらいにアクションと笑い満載のショーが見られます。

 

司会者は、ビッグサイトで展示会のナレーターもこなす女性MC。この人、子どもショーの「お姉さん」のやり過ぎで、ナレーターとしては、ちょっとスポンサー受けが悪い。ついつい、オーバーアクションになってしまうから。でも、子どものウケはバツグン!イルカショーのお姉さんのように、自由自在に子どものハートをあやつります。
 

さて、残りのもう一人、「スタッフ」は何をするかというと、マネージャー兼、営業兼、運転手兼、音響のオペレータ兼、影ナレです。当時、音源はオープンリールのテープを使っていました。しかも同時に2本。ということは、2台のオープンデッキを一人で、操作しながら、ショーのBGMを、役者の動きに合せて、“ライブ”に組み立てていく訳です。
 

それだけでも大変なのに、さらに彼は・・・、
 

戦闘シーンにおける、ショッカーの「キィー!」から、仮面ライダーの「とりゃ!」、悪ボスの「グゴボボボー!」まで、ありとあらゆる擬声音、擬態音を口で作っていくのです。首からヒモで吊ったマイクを、ほとんど「かぶりつく」ようにして。そこだけ見てると、8本の手を縦横無人に使ってテレコを操作し、顔を真っ赤にして、口から墨を吐き続ける、ハチマキしたタコのようです。
彼こそプロ中のプロだと、心底、私、これにはいつも感動していました。