1.携帯電話の思い出

『携帯』って、なに?と云いたいほど、文字ヅラからして古臭い言葉とは思いませんか。もう慣れてしまって、なんとも感じないかもしれませんが。若い人にとって、多分イメージの上では、漢字の「携帯」ではなくて、カタカナの「ケイタイ」のほうでしょう。
 

その昔、16、7年前、私は肩に携帯電話を引っ掛けて、イベントの現場に出ていました。これは自動車電話に肩ひもを付けたようなもので、「ショルダーフォン」とも呼ばれていました。ずっしりと重く、イベントの現場で1日背負っているのはおおいに負担
でした。
 

当時は電話の買い取り制度はなく、すべてレンタルだったように記憶しています。
月々のレンタル料も高額でしたが、たいして使っていないのに、6万とか10万とか支払っていました。
 

大手の広告代理店の担当者から、現場で「ちょっと貸して」と云われると、長電話されるんじゃないかとヒヤヒヤしていました。当時、広告代理店も、イベント現場担当者ひとりひとりに持たすほど、台数は所有していなかったのです。
 

2~3年後、やっと「ハンディーフォン」と呼べる程度の大きさの携帯電話が登場しました。見た目の大きさはと云うと、今の公衆電話の受話器ほどでしょうか。これでも画期的なことでしたが、たまに見るアメリカ映画の中の、二つ折りできるセルラーフォンに比べると、日本と欧米の技術の差を痛感させられました。「どうして、ああいう風にかっこよく出来ないんだろう」
 

その携帯電話にはベルトが付いていて、指を通して持ち歩くのが一般的でした。ある夜イベントの現場を終え、スーツを着たまま地方都市の繁華街をひとり、携帯電話を指に引っ掛けて歩いていると、呼び込みのお兄さんが誰ひとり私に声を掛けてこないのに気付きました。目を合すと、さりげなく目礼を送ってくれているような感じでし
た。
 

「やばい。これって間違いなく間違われている!」
 

かくのごとく、10数年前の携帯電話はそのスジの人の「御用達グッズ」だったんですね。今と比べて、隔世の感がします。